短胴型PBCFの開発 ~舵と舵とプロペラとの間隔が狭い船に向けて~
舵とプロペラ間のクリアランスが狭い船舶にも搭載可能な短胴型の特殊形状プロペラ装着型省エネ装置PBCF(プロペラ・ボスキャップ・フィンズ)を紹介します。
PBCFが製品化されてから38年間あまりが経過し、商船三井テクノトレードは長きにわたりその開発・販売に携わり、全世界で4,400隻を超える船舶にPBCFが搭載されるに至りました。その長年の知見と経験を活かし、今回短胴型の特殊形状PBCFを開発しました。本製品は、舵バルブが大きくなることで舵バルブとプロペラボスの間隔が狭まり、通常のPBCFでは搭載が困難であった船舶において、この問題を解決すべく胴体(キャップ長)を短くし、極めて狭いクリアランスへの搭載を可能にしたものです。


PBCFは、ハブ渦低減に加え、フィンによるトルク減ないしスラスト増により燃節効果を増大させますが、舵バルブはハブ渦を無くす効果があるので、舵バルブ付きPBCFはフィンの効果だけで燃節効果を拡大する必要があります。さらに、短胴型の場合、フィンの搭載スペースが狭くなるため、フィンの効果を上げるのが難しくなります。フィン効果を上げるにはフィン高さを増してフィン面積を大きくすることが考えられますが、フィンを高さ方向に拡大すると、フィンの抵抗も増大し、逆効果になってしまいます。そこで、CFD計算によりフィンのピッチ角やフィン高さ、フィン形状の最適化を行いました。
CFD解析(数値流体解析)の結果、本特殊形状PBCFは、省エネフィン及び舵バルブが搭載された船舶においても、2.0%超の燃費改善効果を確認しています。
肥大船を含む舵バルブ付き船舶の場合、クリアランス不足によりほぼ半数の船舶へのPBCF搭載を断念していましたが、この短胴型特殊形状PBCF導入により、幅広い船種に対してPBCF搭載拡大が期待されます。